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                  政権が現実となった30日

 今年の8月は、夏らしい日々の少ないものだった。立秋の頃になってやっと、それなりの暑さが続いた。暦との落差はやむを得ない。実際はその頃が暑さ真っ盛りではあった。しかし、全国的には雨が多く、日照時間の少なさは農作物に大きな影響を与えた。

 夏の季節に一定の日照時間がなければ、米を初め野菜類も成長しない。雨の多さは果物や野菜の生育に打撃を与え、異常な野菜の高騰を招いた。北海道では、主力の玉ねぎが根ぐされで全滅、とのニュースも流れた。8月の半ばも過ぎてやっと雨も減り、農作物も回復へと向った。農家にとっては、
大いに安堵していることだろう。
 
 今年の夏、おっちゃんの住むマンションのベランダに二つの農作物を植えた。ゴーヤ(にがうり)
とミニトマトである。おっちゃんが管理しているわけではないが、このゴーヤというものはとても面白い食物だ。ちょっとボーッとしていたら、畳一枚ほどのネット一杯に葉が茂った。
 おかげで、農家が植えた栗の枯れ木が視界から消え、ゴーヤの緑柔らかな葉のカーテンが目に優しい。そして毎日のように、新鮮なゴーヤを食べることが出来る。これで毎朝のメニューに、一つの簡単な健康料理が加わった。このゴーヤのカーテンは、2、3度気温を低下させる効果があるようだ。それでネットをもう一枚加えたら、そちらにも枝が伸びて更にゴーヤがいくつもぶら下がっている。

 新鮮で美味しい。その上ビタミンなどの栄養も豊富で、何よりも血糖値を下げる効用が嬉しい。とても手軽な家庭菜園と言えそうだ。来年は苗やネットも増やす気持ちになった。より多く楽しめそうである。
 一方、ミニトマトが結構大きく育っているのに、まだ赤みがささない。少し心配だが「時間が解決するよ」とのアドバイスを友人から貰って、これも楽しみにしている。
 目の前の食材は、デジカメ写真の練習題材にもなっている。何かを手がけると、派生的に好奇心も湧いてくるものだ。実に面白い発見になった。



        

          
わが家のゴーヤ 食材にも天然のクーラーにもなる
                                   
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総選挙 民主党歴史的勝利 308議席を獲得 

 衆院総選挙投票日の30日、おっちゃんは、投票一番乗りを目指して徒歩1分ほどの小学校へ出かけた。何故にわざわざ「一番乗り」なのか。これには理由がある。前日の夜、パソコンで選挙クイズをして遊んでいた。その中に、「投票所に一番乗りした方には、特典があります。その特典とは、一体何でしょうか」という問題があった。

 これをしっかりと検証するためには、とにかく一番先に投票する権利を得ねばならない。まあ、こんな単純な動機で出かけたが、とき既に遅し。定刻10分ほど前には、20数名の方々が並んでおられる。もう間に合わない。ざっと見ると、年配者の方が多いように見受けられる。年寄りは朝が早いから多いのか。それとも、政権交代が大きなテーマとされる今回の選挙に関心が深いのだろうか。

 いずれにせよ、投票率が上がるなら結構なことだ。そうそう、クイズの回答を示しておこう。
「特典というほどのことはないが、一番先に来た方には選挙立会人と一緒に、投票箱の中が空であることを確認してもらう」のである。この日も最初の方だけが中に入り、二番目以下の人たちは暫しの間入場することが出来なかった。このときに、一番の方は箱の中身を確認していたのであろう。

 当市の市長選挙などでは、投票率は通常30数%程度である。31日、総務省が発表したところによれば、今回の総選挙の全国投票率(小選挙区)は69.28%である。
 これは前回05年の67.51%を1.77%上回り、総選挙に小選挙区比例代表並立制が導入された96年以降5回の選挙では、過去最高になったと発表された。

  

                                  
asahi.comより


 衆議院が解散されたのは7月21日であった。それから40日。国政レベルでの8月の選挙戦は、初めてと言われる。29日、長く熱い真夏の選挙戦は、やっとその幕を閉じた。
 第45回の総選挙は8月30日、投開票され、民主党が単独過半数(241議席)を大幅に上回る308議席を獲得し、政権交代を確実なものとした。
 一方、自民党は公示前勢力の3分の1余に激減する歴史的な惨敗となった。55年の結党以来初めて第1党の座を失い、15年ぶりに野党に転落する。当然ながら、麻生首相は自民党総裁を辞任する意向を表明した。民主党の鳩山代表は、9月中旬にも召集される特別国会で、第93代首相に選ばれ
る。

 政権交代可能な二大政党制を目指して、衆院に小選挙区比例代表並立制が導入されてから15年。総選挙で野党が単独で過半数を得て、政権が交代するのは戦後初めてだ。「政治主導」を掲げる民主党政権の誕生で、「政と官」の関係など日本の政策決定の仕組みが大きく変わる可能性がある。


     
                                     
asahi.comより


 今回09年度の総選挙では民主党に追い風が吹き、自民党には大変な逆風となった。そのように、言われている。結果は確かにそのようになった。しかし永田町で、麻生降ろしなどの党内抗争にうつつを抜かしていた派閥の大物議員?などは、地元に帰って始めて、その逆風の強さを知ったようだ。世間の風は、自らに順風とでも思っていたのか。その鈍感力は最優秀賞に値する。
 自民・民主を始め各党がマニフェスト(政権公約)を作り、有権者への配布も進んだ。しかし自民と民主に限れば、明確な対立点があったとは、思われない。どの位の有権者がマニフェストを詳しく読んだであろうか。

 独裁国家でもないのに、50数年も自民党による政権が続いた。前回の「郵政選挙」では自民党内部の抗争のあおりを食って、民主党は議席減を招いたこともある。しかし小泉政権下での「改革一本やり」の政策は、あちこちにひずみをもたらせてしまった。格差の拡大を呼んだ。雪崩現象の背景には、小泉政権までの自民党政権のもたらした政策のツケがある。

 政権を握って政策を実行する与党には、全ての国民の意思を反映することは出来ない。やむを得ず一部の民意には反する場合もあるかも知れない。
 しかし近々の総理は、あまりにもひど過ぎた。小泉元総理以後に登場した安倍、福田の二人の元総理は、申し合わせたように僅か1年で自ら政権を放り投げてしまった。何かを成すときには、それを行わせまいとする抵抗勢力は必ず存在するものである。そんなことは、小学生でも知っている。一国の総理大臣たるものはどうあるべきか。分かっている筈なのに、実行出来ないのだ。ときには「じっと我慢するも必要」なこと位、小学校で教えてもらったであろうに....。

 そのあとは1年以内に解散、総選挙が控えている。仕組みはオープンな総裁選挙であるが、まあ、人気投票のような形で麻生現総理が選出された。この総理が「漢字が読めない」「発言は、しばしばぶれる」。解散の時期決定には、ダダをこねる。いろいろみせてくれた挙句の選挙では、自民党は到底勝てない。始めから負けていたのである。

 自民党政権末期に向けて、民主党の「政権交代」の大合唱は選挙のテーマになった感がある。メディアの「民主党大勝利」などの報道も、民主党に味方した。
「たいして変わらぬなら、一度民主党にやらせてみるか」。こんな方向づけが、無党派有権者の間に大きな渦となって波紋を広げていった感じがする。

 小泉元総理による自党郵政反対派への刺客戦略は、民主党に完璧に活用された。ターゲットは、問題発言や政治資金管理などで、過去に辞任した閣僚や派閥会長たちであった。

 消費期限を過ぎた自民党古参議員たちもまた、『政権交代!』 というワンフレーズを武器にした女性刺客たちにとどめを刺された。今回小泉チルドレンの90%は、落選した。このたび当選を果たした小沢チルドレンたちはどうか。政治にはど素人の若き女性刺客たちが、4年後は立派に成長しているであろうか。単なる員数合わせになっていないことを、心より望む。

 鳩山政権は、100人を超える政治家を官庁に送り込む。官僚の言うがままにはならぬ。100人もの政治家たちは、官僚の仕事をするわけだ。どうもおかしい。
 おっちゃんから見ると、これは間違いだと思われる。霞ヶ関の一人ひとりの官僚は、優秀なエリート軍団である。この優秀な官僚を使わない手はない。
 これらの官僚を上手く使うのが、それこそ政治家の役目だと思うのだが..。
 勝ちすぎた選挙は、さらに勝ち続けるのは難しい。自民党も、次は大きな変身を遂げているかも知れない。しっかりと、勉強してくるであろう。そうなって、始めて二大政党による政権交代の意味がある。

  まずは、鳩山内閣による9月の組閣や国家戦略局なるものの出発が楽しみである。
  
            
− 桐一葉 落ちて 天下の秋を知る−


     

 
もう一つの夏も終わった

   
熱闘甲子園と新型インフル

 8月8日に始まった第91回全国高校野球選手権大会は、24日決勝戦が行われ、中京大中京(愛知)が10−9で日本文理(新潟)を下し、66年の48回大会以来43年ぶりに7回目の優勝となった。この全国制覇は、広島商の6回を超えて史上最多である。

 毎年、「夏の甲子園開催期間中が最も暑い」という感触がある。酷暑のさなかでも、広い球場を走り回る選手たちの体力が羨ましい。そんな思いを抱きつつ、1年また1年と過ぎてきた。例年この大会が終わると「秋」になる。今年も同じように、いつの間にやら、朝夕は「秋」そのものの佇まいになった。
 涼しい風が窓辺から入り込む。少し変わった点といえば、今大会が雨で二日間順延されたことだ。こんな事例は長い大会史でも初めてというから、やはり地球の気象は異変しているのだろう。

 大会の予選を新聞で見ていたら、地球環境という高校を見つけた。これは珍しい名前だ。同時に科学技術という名の高校も二つほど目に入った。「地球環境」と「科学技術」という相反するかも知れぬ校名に興味が湧き、インターネットで調べてみた。前者は私立校であり、長野県佐久市に本部を置く。普通科のほかに単位制や広域通信科などがあって、私学特有の伸び伸びとした雰囲気を感じさせる学校である。

 後者は県立校で、文部科学省の後押しで出来た学校のようである。科学、工業のスペシャリストを育成する学校だ。福井県のほかに東京、兵庫など、全国各地にある。地球環境高校の校章は、そのものズバリの「(ECО)エコ」。爽やかなものである。科学技術の発展は勿論大切だが、こんな学校が、もっともっと増えるといいなあ、と思った。
  
   
〜甲子園〜

 千葉県代表の県立八千代東は1回戦で、愛媛の強豪西条に破れたものの、2−3の僅差であった。近頃は、地域差による強弱があまり見られないのが特徴だ。いっときは和歌山の箕島が強かった。そしてPL時代が続いた。最近では、雪に閉ざされた北海道の駒大苫小牧が常識を覆し、春夏の連覇を成し遂げる状況ともなった。そして、ついに長崎の佐々町(北松浦郡=人口一万三千人)という田舎町から県立清峰が頭角を現す。

 数年前から、全国レベル上位校の常連ともなった同校は、遂に今年春の大会を制覇した。だが、夏は一転して、県大会の一回戦で長崎日大に敗退した。夏の甲子園大会は、春の県大会や地区大会が続き、そのあとに夏の本大会予選に入る。休む暇はない。生徒たちは、連日汗まみれで練習する。切磋琢磨しても、必ずしも勝てるわけではない。
 いつも思うが本番の甲子園も、勝ち負けはほんの僅差である。強いチームが、必ずしも勝てるわけではない。甲子園では予測のつかないドラマが展開される。本大会も、各校のチームの力は横一戦。同点、逆転、ホームランなどで白熱の試合が続いた。

 今夏の決勝戦は、野球王国・愛知の中京と、野球弱小県と言われる新潟の日本文理の戦いとなる。新潟勢の選手権大会での白星は、都道府県別では最下位の16勝48敗だ。
 おっちゃんは、この試合を仕事のかたわらチョコチョコと見ていた。9回の二死まで4−10で中京のリードだ。もう決まりかと思ったら、二死からの日本文理の攻撃で中京の投手も野手も、浮き足だってきた。

 あと一つのアウトが取れない。日本文理の猛反撃が始まった。二死から、四死球を挟んで4連打。ついに1点差まで追い上げた。1点差のリードは無きに等しい。こうなると、どちらが勝つか予断できない。最後、猛烈なライナーが三塁手のグラブにおさまったときは、投手の心臓も止まる思いだったろうと想像する。打球が10センチでも違えば、逆転で日本文理の勝ちもあった。物凄い試合であった。かくして熱闘甲子園は終わった。

 負けた日本文理メンバーには、一人の涙顔もなく笑顔いっぱいだ。勝った中京では、投手の目だけが潤んでいた。中京の堂林投手は、今春の選抜大会準々決勝の報徳学園戦で、あと一つのアウト、あと1球が決められずに逆転負けを喫している。
 このことが、脳裏に浮かんだのだろう。今回は、それを乗り切った。まずは良かった。全力を尽くした両軍の選手に拍手を送りたい。また来年を待っている。 
           

    

    決勝戦で負けた日本文理(左)    勝った中京大中京(右)



 ※付記1 本大会の球趣をさまたげた出来事があった。それは今年春に流行した新型インフルエン
ザが、参加したチームのメンバーに感染したことである。立正大松南(島根)の選手18人のうち5人が症状を訴えたため、13人で戦うことになった。また、準決勝まで進出した県立岐阜商の応援部員が帰郷後に一人が発症し、その後男女96人が感染の疑いが出て、学級が閉鎖されている。



 ※付記2 日本文理高校の大井監督は、おっちゃんの高校時代の後輩でありました。59年夏の準優勝投手(宇都宮工)で伝説の早慶6連戦に1年生で出場した球歴を持つ。早稲田では3番を打ち、好打者として鳴らした。
 栃木から新潟へ住民票を移して情熱を注ぎ、甲子園で勝つために打撃を磨いた。67歳。今でもノックバットを振り、フリー打撃で見本も見せる。新潟に来て23年。備忘録として記す。
                                       
                                      
 (C・W)