第四回市民公開講座「悪徳セールスに騙されない、上手なリフォーム工事発注の仕方」を平成18年2月18日(土)午後1時00分より2時30分まで、東部学習センター 学習室1において開催した。
今回の講座は、昨年10月に開催した「悪徳商法対策とリフォーム工事セミナー」に続く講座で、地元鎌ケ谷市NPO連絡協議会代表の五十嵐實氏のご協力を得て公開講座を開催した。
当日は会場を東部学習センターに移して、少人数の一般市民を対象とたサテライト講座で10名弱の参加があった。
講師を務める五十嵐氏は、鎌ケ谷市NPO連絡協議会代表で地元で建設業を営み、長年現場の工事監督経験が深く今回のセミナー「悪徳セールスに騙されない、上手なリフォーム工事発注の仕方」と題して、悪質なフォーム工事訪問セール手口の実態などお話していただいた。市民の方もリフォーム工事に関して不安が高いのか、参加者から講師の説明の合間にもつぎつぎと具体的な質問が相次いだ。
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小人数の講座開催 |
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講師の五十嵐氏 |
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講座を受ける参加者の方 |
お話の要旨:
(1)悪徳セールスに騙されない為に
★ よくあるリフォーム工事訪問セールスの手口
・悪質な大手リフォーム工事会社は、25歳から35歳ぐらいの多くの若手営業マンを投入し、地域を限定した(今日は鎌ケ谷、明日は船橋とか)一斉訪問で脈のある(高齢者や定年退職者の住まわれる)住宅をリサーチ
する。そして、訪問セールスの中からアポイントが取れた件名を契約に持っていく、クローザーと呼ばれる年配者のセールスが訪問して「お宅は目立つ場所なので」などの見本工事商法や、最近では「オール電化住宅」で太陽光発電システムなど高額商品を売り込み、いかにもメリットがあるように思わせて契約を結ぶケースがあるが、しかし、その見積もり価格は最初から標準価格よりも20%ほど割高となっていて、値引きをしても少しも安くなっていない。
・年配の方(定年退職をされた方、元教員、公務員の方など)や女性の方が自分は大丈夫と思って、少しでもリフォーム工事の訪問セールスの話に耳を貸すと、何時間も家の中に居座り、最初は少額のリフォーム工事の費用提示から、だんだんと数字が膨らみ、その内1千万以上のリフォーム工事内容でも感覚が麻痺して何とも思わなくなる。このようにセールスの話には数字のマジックがある。
ベテラン営業マンの甘い言葉に釣られて、絶対に契約書への不用意なサインはしない(冷却期間を置く) 事。
★ 悪質な訪問販売(リフォーム工事)への対応策
・訪問セールスがインターホンで「お宅は目立つ場所なのでモデル住宅として」「地域限定で3棟だけの奉仕価格で」「自分の会社で奉仕予算を計上し、お客さんに原価で提供」などと言った話にうかつに乗ると、セールスマンの術中にはまり高額な契約をさせられてしまう事がある。
セールスマンの勧誘に注意すべき事は、セールスマンの身分証明書をチラット見せる事もあるが、これだけで信用しては駄目。しっかりした会社は会社の経歴書が備えられ、また工事施行保険にも加入してしている。安心してリフォーム工事を任せられる業者の情報は、(財)住宅リフォーム・紛争処理支援センターが提供するインターネット情報「リフォネット」で、リフォネット登録事業者を確認する事が出来る。
・訪問セールをあきらめさせる、質問攻勢: お宅の会社は優良リフォーム工事会社として、リフォネットに登録されているか、会社経歴書を見せてください、工事施工保険に加入しているかなど聞くと良い。悪徳セールスは口先だけで勧誘し、証拠を残さないため、名刺も渡さず、会社経歴書なども持ち歩かない。
訪問セールスには、上記の質問などしてき然とした態度で断る事が必要である。 中には怖い営業マンもいるので注意を要するが、それでも駄目なら警察へ連絡すると言えばよい。
・環境対策をうたう(「オール電化住宅」で太陽光発電システムなど)電話セールスの訪問予約(テルアポ)には注意が必要。女性がよくこの手の電話セールに引っかかる。簡単にセールを自宅に入れない事。電話セールスはまず断ること。テルアポは電話を100件かけて、その内1軒でもセールスの話ができて、その後の自宅訪問により1週間に1件でも契約に持ち込めば(高額な工事費のため)成功であり、そのために何名ものアルバイト女性を雇っている。
(2)上手なリフォーム工事発注の仕方
★リフォーム工事を考える前の、自宅のセルフチェックポイント
・家屋は建ててから10年〜20年くらい経つと、どこか建物が傷んでくる。その原因は主に雨漏りである。
・大事な箇所は、まず大屋根であり、そこが大丈夫ならば外壁、次は内装のリフォーム順となる。
・安心して住める家を購入する前には、現土地の状況(過去は田んぼだったのか、沼地・埋立地なのか)を役所や付近に昔から住まわれる方に当時の状況を聞いて調べてみる。
・特に注意を要するのは、以前その土地が埋立地であった場合、建設会社によって適切に建物を建てる前の基礎工事(地盤改良工事など)がなされていないと、住んでから何年か経つと家屋が傾いてくる。
・外壁に細いクラック(ひび割れ)が入っていても防水紙があるので、雨漏りの心配はない。しかしマッチ棒ほどの幅になると外壁のモルタルの下の防水紙が破れている恐れがあり、そこから水が染み込み建物が傷む様になるので、大きく外壁が割れた場合には修理が必要である。
・白蟻の被害について
★ 上手なリフォーム工事発注のポイント
・リフォーム工事依頼先の企業が本当に信用できる会社かどうか、事前に調べる。
(工事施設保健の加入の有無、会社経歴書など調べる)
・2〜3社のリフォーム会社に、診断とリフォーム提案、合見積もりを求めて比較する。
・工事費用で合見積り額の落とし穴(工事内容によって見積価格は大きく変わる、特に一式幾らは駄目。使用する部材の種類、数量、単価、工賃など詳しく記載されているかなど)、家屋の建てた時期によっても大きく条件は変わるので、価格だけでなく工事の明細を詳しく説明してくれる業者を選ぶのがコツ。
・リフォーム工事を依頼する場合には、その業者が本当に建築の専門家かどうか、中には建築と関係のない業者でも簡単にリフォーム業界に参入している。
・リフォーム工事で大手建設会社利用のメリット・ディメリットは、費用見積には工事の請負業者を何社も通すため、概して見積もり費用は一般に比べて割高となる。リフォーム工事は一般住宅を建てるよりも広範なノウハウが必要となるため、知名度のある建設会社であれば建築士や工事監督者を多くかかえ、信用力・技術力もあるので安心は出来る。
・リフォーム工事を依頼する場合には、大手建設会社と市内の一般工務店・建設会社などから合見積もりを取って、比較検討すると良い。
・リフォーム工事に関わる、火災保険請求支払いの事例: 今まで火災保険に入っていても、火事だけが保証対象と思われていたのではないでしょうか? 火災以外でも、自然災害で被害を被った場合、保険申請の代行業者を通して適正な申請をすると保険を受け取ることが出来ます。
今回のサテライト講座は、少人数による講座であったが、講師と参加者との質疑応答も活発で、適時参加者から質問が出来る点がよかったと思う。講座終了後のアンケート結果でもNPO法人による開催で、中立的立場なので公平度も保たれ、講座内容も概ね「分かりやすく」「もっと開催して欲しい」と好評であった。(S.K)