上海紀行
Part 09

ライター:千遥

中国大学生との交歓

 上海二日目は、午後1時30分から上海水産大学の日語系学生との交歓会が催された。場所は多くの学生が集える講堂である。我々が入っていくと正面に舞台があり、すでに両側に中国人男女の学生たちが着席して待っていた。大雑把にいうと200名位いたような気がする。まず先方の学生から当日のメニューを渡される。我々は順次入っていき前の方から左側の席に腰をかけた。私の左側には中国人女子学生が三人ほどいた。



流暢な日本語による司会者

 司会は3年生の男子学生と2年生の女子学生のコンビで進行する。なかなか流暢な日本語である。女性の司会者はスタイルも抜群で、なかなかの別嬪さんだった。最初は女子学生による歓迎の挨拶、次いで男子学生がそれぞれ日本語で歓迎してくれた。みな日本人と変わらない言葉だし素晴らしい挨拶だ。ひょっとすると、そのへんの日本の大学生よりもしっかりと話しているように思った。

 式次第を見ると、2番目は「日本友人自我介紹(自己紹介)」と書いてある。私の左隣に中国語学習1カ月の同室の朋友がいた。「おい、おい、君のところから来るぞ」と言ったら、彼は慌てて遠くに逃げていってしまった。それで私が一番目に話すことになった。私とほぼ同年齢の方が一人いたが、どこにいるのか分らない。まあ、別にどうということはないが、中国語で話さねばならないことは確かだ。壇上にあがって司会の女子学生からマイクを受けとり、開口一番「ザーンメン、ハォ」と言った。すると、中国人学生の中から「ドッ」と歓声があがった。



人懐こい女子学生たち

 通常は中国人の皆さんに対しての挨拶は「ニーメン、ハォ」という。「ニーハォ」は単数で、複数の人たちに対しては「ニーメン、ハォ」となる。私(我)は「ウォー」であり、私たち(我々)は「ウォーメン」である。「ザーンメン」とは、こちらの我々とあちらの皆様を含めて「我々」という親しみを込めた言い方になる(らしい)。私はそう考えていたから、いつか試してやろうと思っていた。が、日本人学生はあまり分らなかったようである。中国人学生がその時どう思ったのかは、未だに確認していない。まあ、おかしな日本人が来たと思ったに違いない。いずれにしても、それがきっかけで、会場の雰囲気は一挙にリラックスしてきた。その効用があったことに間違いない。




プロ並みの中国歌で歓迎

 自己紹介は日本と同じで、通常は自分の名前を最初に言う。「我叫渡辺千里(私は渡辺千里といいます)」に続けて、64歳であると述べた。あとは2年ほど前に暗記したものがすらすらと出てくる。

「我一直想去万里長城。去年3月フェン我去クォー了北京。我走了20公里到八達嶺。千里的我走路万里的路。多年的願望実現了!」。

 (私はずっと万里の長城に行きたいと思っていた。昨年の3月、私は北京に行き、八達嶺まで20キロ歩いてきた。「千里の私が、万里の道を、歩いてきました」。長年の私の夢は実現したのです)

 上海が大好きになった。上海人も好きだし、女性は美しい、等と中国語でスラスラと出てくる。締めくくりは日本語。長年の会社員生活のクセがやっぱり出てしまう。「若い人たちが相互に異国の言語を学ぶのは素晴らしい。どうか、それぞれの文化や習慣、歴史を乗り越えて友好の輪が広がることを望む」なんて偉そうなことを言ってしまった。 




上海明珠塔(テレビ塔)

 そのあとに続く若い人たちは、「自分の名前と、どうぞよろしく」程度の中国語を話しただけだった。こんなことだから、会社員時代には全くもてなかった私が、何時の間にやら女子大生の中で主役になってしまったのである。
どうも、この日最も目立った日本人だったことも後で知った。たまには年よりも得をすることがあるようだ。 歓迎会では中国人学生による様々な催しが用意されていた。最近中国でヒットしている歌やバイオリンの演奏なども披露して頂いた。

 日本のテレビなどでも流行しているYES OR NOの問答などもあった。今覚えているものに、中国人学生に対しては「日本皇太子の娘さんの名前は敬子さんである」とか、「日本は今年、平成14年である」などの問題が出されて、正誤を当てるのである。我々日本人学生に対しては、「浦東地区に聳え立つテレビ塔は世界第三位の高さである」とか「中国の首相は李鵬さんである」等いろいろ出された。知らない問題が出てウロウロしていると、女子学生が寄ってくる。「先生、こっちだよ」と、あちこち引っ張りだされて益々ウロツクありさまだった。     (続く)


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