上海紀行
Part 24

ライター:千遥

    上海の日常生活

 日本では、つい最近まで水と安全はタダ同然だと思われていた。これが現在はそうでもなくなっている。毎日のように殺人や暴行事件が報道されている。夫婦間や親子兄弟でも、保険金をかけられて殺されることも珍しくない。そして、その動機もまた単純なものが多い。おかしな世の中になったものである。タダと思われていた水も、わざわざお金をだして買うのが極く当たり前の風潮になっている。牛乳よりも高いのだから世の中の変化は激しい。それでも水道の水が飲めるから日本はまだ良い。



これなーに?
生活必需品・家庭用飲用水製造機也

 上海では、まず水道の生水は飲料水としては不適格である。これは北京でも同様であった。原因は日本と違い硬水だからだ。比較的衛生管理の行き届いた大都市のホテルでもこの有様だから、農村地方などでは、絶対に生水などは飲んだらいけないに違いない。

 逆に新鮮な地下水などが美味しく飲めるのかもしれないが、これは未経験ゆえになんとも言えない。そんなことで私も滞在中は一滴も水道水を飲むことは無かった。
 お湯は招待所でもホテルでも無料でくれるから、もっぱらお茶ばかり飲んでいた。中国人学生などは一度沸騰させ、それを冷やしたものをペッドボトルに入れて持ち歩いていることが多い。
 私はといえばミネラルウォーターの600mlが4元(60円)、350mlの缶ビールも4元だから、ビールを飲むほうが多かった。

中国では龍は最も大切な動物だ

 上海出張の頻度が多い朋友の石川氏の話では、沸騰させたものでも長いこと飲んでいると、現地の水質に慣れぬ日本人は腹痛などを起こすこともあるとのことであった。幸い私は2週間ほどの滞在中に1度だけ下痢をしただけだった。
 これはたまたま前夜に大酒を飲んだためと勝手に解釈しているが、あまり自分流の言い訳はよくないかもしれない。中国人同士のケンカは一度だけ見たことがある。




上海随一の南京東路でも
ケンカは日常茶飯事だ

 これは夜繁華街のど真ん中でやっていた。顔面から血を流して、けっこう派手に殴り合っている。だが警察官がきて二人とも直ぐに検束されてしまった。日本の警察ほど甘くないから、有無を言わせず二人とも捕まえてしまう。最近起きた「瀋陽の日本大使館事件」と同じ感じだ。



これは綺麗な方かなあ
(但しとびらは無い)

 外国人を傷つけると懲役刑が待っているから、我々にケンカを売ることは無さそうである。
とは言うものの、日本人流の悪い言葉は先方でも敏感に感じるから無理な言動や行動は慎むに限る。

 パスポートとビザとお金さえあれば日常生活で困ることは無いが、電気ひげ剃りだけは持参した。中国の家庭用電圧は200ボルトであるから、パソコンなどは変圧器も用意しなけばならない。ひげ剃りはその必要はないけれど、コンセントの形状が異なるから日本のものをそのまま持参しても使用できない。出発前に電気店で探したら結構いい値段がしている。そのうえ、向こうで使えなかったら丸々損になってしまう。そんなとき、たまたま外資系の会社に勤める娘の旦那がしばしば海外出張していることを思いだした。聞いてみると、彼は各国の様々なコンセントを所有していたのである。


結婚披露宴の1コマ

 ちょっと重いが、いろいろな形状のコンセントを持っていくことにした。結果としてはこれが大変役にたった。日本の電気製品に付属するコンセントは1種類しかない。下駄の歯のように二つの細い足が並行についたものだけである。中国では3本の太くて丸い形状のものが多い。それだけでなく、二つ足のものもある。どうも3種類はあったように思う。いずれにしても、どのホテルでもひげ剃りは使うことが出来た。


高級乗用車「中華」

 もう一つ有効だったのは消耗するデジカメ用と電子辞書の単3乾電池の充電に使うことが出来たことである。単3乾電池はかなり余分に持参した。同伴した朋友は電池など現地で買える、と高をくくっていたが、これは大きな間違いであった。観光地などでデジカメの電池を切らした彼は、何度も電池を購入したが満足に使用できるものが無かった。直ぐに電池が使えなくなってしまうのである。包装などはきちんとしてあるのだが、そんなことが数度となく起きた。

 どうも消費期限を過ぎたものが売られているような気がした。フィルムはどうか。これも余分に持参したものの不足してしまい適度な店で購入したが、帰国後に現像しても問題は何も無かった。  
                       (続く)



 

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