高齢化社会を迎えて
身近な問題に取り組もう!!! 
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ライター 千遥


 

     
消費税8パーセント 価格表示にみる姑息な商売
  
 今年の春以降、おじさん(正確には喜寿も過ぎたおじいさん)がとても注目している事がある。それはこの4月1日に、以前の5パーセントから8パーセントに上げられた消費税導入に伴う価格表示の仕方である。
 毎日のように新聞に折り込まれてくるチラシの山。市内のスーパー各店やドラッグストア、DIY店、家電量販店などの小売店が大半であるが、その価格表示が非常に紛らわしいと感じている。4月以前にはなかった「本体価格」なるものが見受けられることが一つ。
 本体価格とは、消費税を乗せていない「税抜価格」のことである。この税抜価格に加え、「税込価格」の表示が現れたことが二つ目。問題はこの二つの価格が混在することにある。スーパーなどレジの現場では、支払金額に困惑したおばあさんの姿をよく見かける。実際に購入する金額が明示されていれば買い物もし易いのに、商品に二つの価格が表示されていることで、特に高齢者層に戸惑いを生じさせている。

 「日本人は礼儀正しく 、とても真面目である」とは、日本を訪問する中国人観光客などの一致した評価と言われるが、この価格操作では、そうとも言えない面が数多く見られる。このようなやり方は、まことに姑息な商いと思えて仕方がない。おじさんは、この場を借りてその矛盾点を言わせてもらうことにした。

 折り込みされるチラシを見ていると、販売する側に都合のよい表示が大半を占める。確か、消費税アップ以前は何処の店も「税込価格」一本だけだった筈なのに、4月1日以降は税抜表示が幅をきかせている。軒並みどの店も税抜表示である。これは何故か。消費者に対して「自分の店は安く売っている」と、アッピールしたいだけだ。税込価格では他の店よりも高いとの印象を植え付けてしまう。それゆえに、税抜価格を目立たせるやり口に徹する。消費者を騙す手口と思えて仕方がない。

 「これって税込み? それとも税抜き?」。小売店の店頭で消費者が困惑している。消費増税以降、2種類の価格表示がわかりにくい形で混在する状態が続いているからだ。混乱した消費者は買い物を控え、消費を縮ませる一因にもなっている。
 値上げの印象を薄めようと、禁止されていた税抜き価格表示の解禁を希望したのは小売業界だった。小手先のトリックが、かえって自分の首を絞めつつある。

 価格の表示方法をみると、いくつかのパターンに分かれている。典型的に消費者をあざむく表示は、極端に大きく太い文字で「本体価格(税抜価格)」を見せ、そのあとに小さく「税抜」や「税別」と入れたり、「+税」「+消費税」などと描くやり方である。これでは実購入価格が分からない。本体価格なるものを極端に目立たせて、見るからに小さく、豆粒のように「税抜」と加えているものがある。こんなものは、詐欺商法と言ってもおかしくない手口と思われる。
 100円ショップならば税込価格は108円と直ぐに分かるが、大型の電機商品となれば税抜と税込とでは大きな差がある。買う方が錯覚すると大変な損失?になり兼ねない。

       

    
 上記に見るごとく、これが典型的に消費者を惑わす事例と思われる。このような表記は売る側には面倒がないが、購入者は不便な事言うまでもない。単品ならまだしも、多品目や数多く購入した場合は全体金額が掴めなくなる。市内の家電量販店なども上記と同様な方法をとっている。そして「秋の特別セール」とか「在庫品・展示品一掃セール」などで人目を引く。当市内にはないが、同業のヨドバシカメラでは税込価格一本である。他店を意識せずに、堂々と税込価格で勝負できないのがもどかしい。
       

 次に多いのは本体価格を真っ赤な大きな文字で描き、その下に小さく「税込価格」を付け加える方法である。これは税込価格が表示されているだけ未だ救われる。大型スーパーなどは本体価格を大きく表示し、その下に税込価格を描くものが多い。本来は税込価格を大きく表示する方法が望ましいが、他店との競合を意識してか、みな横並びの価格表示である。

 商いの現場で、価格は非常に重要なメッセージだ。宣伝文句と同様に、シンプルで明快で力強く、しかも魅力的でなければならない。しかし現状では、わかりにくく、時間のない消費者の頭の中にすっと入りにくい状況になっている。こうした混在の問題に加え、税抜き主体の表示がもともと持つ問題も大きい。(日経新聞)
 今年春の消費増税にあたり、政府の定めたガイドラインで「X円(税抜)」「X円+税」といった表示が許された。税抜き価格のみを表示する場合は、店内の目立つ場所にその旨を掲示するようにも求めている。しかしすべての消費者が、そうした細かい表記を気にとめ、理解してから買い物をしているわけではない。そもそもこれまで、小売店は税込み表示が義務付けられていた。売り手の都合でいきなり税抜きに変え「きちんと理解してくれ」と要望しても、客は混乱する。(日経新聞)

              


 大型スーパーでも、非常に分かりにくい価格を示している店が数店ある。本体価格を大きく赤い数字で描き、その下に小さな文字で「
参考税込価格」と描かれている。一体この参考価格とは何を意味するのか。当初は、おじさんも非常に戸惑った。

 よくよくチラシを眺めると、下の方に申し訳程度に注釈がある。「参考税込価格は、その商品を1点だけお求めの価格です」などと挿入されている。毎日買い物をするスーパーなどで一つだけ買うお客は、ほんの少数であろう。レジでの清算は、本体価格を全て合算した上で、8パーセントの消費税を乗せているのが実態である。

              


 さらに分かりにくい価格表示をしているスーパーがある。組合員組織で全国展開する店である。顧客対応は自分のところが一番、との自負がありそうな表示の仕方だ。しかし消費者目線で眺めれば、これが最も分かりにくいものである。本体価格の下に、小さく「税込204.12円」等と描かれている。何だ、こりゃあ。今どき12銭などというお金は存在しないではないか。

 おじさんは店のサービス係のところに行き、「この価格はどういう意味ですか? 」「銭というお金は現在使われていないけど、支払いはいくらになりますか?」 と聞いてみた。そしたら、サービス係のお姉さんは答えられないのだ。彼女は慌てて上役を呼んだ。出てきた店長代理なるお方は、おっしゃる。「一品の購入は銭表示はすべて切り捨て。複数買い求めの場合は、税込価格で計算し合計価格の銭単位は切り捨てる」とのことであった。

 おじさんは思う。チラシや商品に現実に存在しない「銭」単位まで表示することで、業界で最も丁寧に消費税を計算しているように見せながら、そして顧客サービスも一番と思わせながら、最も分かりにくい姑息な手段ではないのか、と。

           

             
 
 4月にスタートした消費税の引き揚げ。これにともなって一番身近なスーパー各社は、軒並みに本体価格を前面に打ち出し実購入価格を後ろに持ってきた。来年10月の10%消費税を視野に入れて、法的には経過処置として「本体価格+消費税」でも是とされている。これを拠り所に各店とも税込価格を隠したような作戦である。だが、本来税込価格で消費者に分かりやすくするのが販売店の成すべきことではなかろうか。端的に言えば、みな横並びの姑息な商売に徹していると言わねばならない。

 4月1日以降のチラシで見た限りでは、市内のスーパー関係で税込価格ただ一つの表示は、食品も扱うドラッグストア1店のみであった。衣料関係や市外のDIY店では、当初から税込の店もあった。8月頃から市内のDIY店では、税込価格一本に切り替え、「当店での表示価格はお客さんに分かりやいように税込価格となっております」とチラシにも、大きく描くようになった。
 大手スーパー「イオン」では傘下の一部スーパーで税込価格に切り替えたとの報道もあるが、イオン本体は依然として税抜価格が主体である。チェーンストア協会に加入している手前、自社のみが突出するのを避けたいとの意向があるらしい。図体は大きいが業績は今一つ冴えないと言われるイオン ! 先陣をきって税込価格のみに切り替えたら、お客にも喜ばれ、かつ業績も向上するのではなかろうか。

  

 ***追記*** 住宅が税抜価格とは

 
恐るべき! この広告 実購入価格は2,600万円になる。こんな会社を誰が信用するのだろうか。

                  

 こちらも同罪! 購入価格は一桁増えて、1,000万円を超えてしまう。

          

 こちらは正解! この会社は市民の共感も得られて、益々発展するだろう。応援者も増えること間違いなし。
  
               


 消費者にとって望ましいのは、税込価格一本!!! 
しかし税抜価格を小さく、そして税込価格を目立たせ大きく描くならば、並列表記も未だ良しと妥協しよう。
   
        



 消費者に望ましい価格表記を尋ねた博報堂の調査がある。
「店によって表示方法が異なると混乱する」と心配する人が87.7%もいた。「商品を手に取った時点で消費税額を含む支払い金額すべてを把握したい」と思う人も81.9%いた。そして、77.5%の人が「税込み表示に統一されている方が混乱がない」と希望していた。

 増税後に、「税込み」と「税抜き」のどちらを中心に表示してほしいかも選択式で尋ねている。
「Y円(税込み)」「Y円(本体価格X円)」など、税込み価格中心の表示を選んだ人は計93.7%と9割を超えた。これに対し、「本体価格X円(税込みY円)」など、税抜き価格中心の表示を希望した人は計6.3%と、1割に満たなかった。


 買い物の現場で消費者が知りたいのは「結局、自分はいくら払うのか」ということである。企業と政府の取り分がどういう内訳になるかなど、日々の買い物でいちいち気にしてはいられない。こうした消費者の希望に背き、「店ごとにばらばら」どころか「1つの店の中でもばらばら」な表示が続いている。商品を手に取った時点では、支払い総額が簡単に計算できない。⇒税抜価格オンパレードのチラシの一部に、突然出現する税込価格!!! こんなことで消費者を操るつもりなのか!!! 何とも情けない商魂としか言えぬ。

 小売業界は「小売店が個々の商品を値上げしたわけではないことを、きちんと示したい」と税込み表示の解除を要請し、期限付きで認められた経緯がある。しかし消費者の心理を無視した報いを、消費不振という形で受けているのが今の小売業界だといえないだろうか。

 10月の或る日、朝日新聞が報じた「戻らぬ消費・増税6ケ月節約ムード」と題する記事。小売店の店頭の様子が書かれている。特売を報じる内容があまりにもお粗末。この記者はドラッグストアやスーパーなどに行ったことがないのだろうか。日常茶飯事の事柄を特筆している。これでは社会・経済関係の記事は任せることは出来ない。(C.W)