「セルビアの文化と暮らしを知る」   KIFA交流カフェを開催


 平成23年10月16日(日)午後2時より約2時間、鎌ケ谷市国際交流協会(KIFA)主催による外国文化を知る交流カフェが市生涯学習センターまなびぃプラザ2階研修室で催された。

 当日は、秋晴れの晴天に恵まれ、市内各地でいろんな催し物が行われていたが、市報掲載や会員の呼びかけにより30余名の一般市民や会員の方たちが集い、外国の文化を知る機会を楽しんだ。

セルビアのカソリック教会 セルビア共和国の国旗 ドナウ川の夜景

 今回の外国文化を学ぶ対象国は南東欧に位置するセルビア共和国である。今回は国際交流協会で3名の講師を招き「セルビアの文化と暮らしを知る」をテーマに交流カフェが行われた。

ティヤナ・ナガトさん サニヤ・トリプコビッチさん 小柳津千早さん

 セルビアと言えば19991年から2000年年まで泥沼のユーゴスラビア紛争を経験し、今もなおユーゴスラビア連邦解体の過程で、関係国の当事者である国民には深い傷跡を残している。現在のセルビアは落ち着いて平和な暮らしが続いているが、その紛争当時に現地で幼年期を過ごした講師の方から、セルビア文化について紹介のプレゼンテーションがあった。

 交流カフェは下記の順番で、進められた。
最初に、ゲストの自己紹介が行われた。ティヤナ・ナガトさん(大使館秘書)、サニヤ・トリプコビッチさん(ライター・通訳、来日11年で日本語は堪能)、小柳津千早さん(ベオグラード大学留学4.5年、ジャーナリスト、国際結婚)
と多彩なゲストを向かえ、セルビア文化の紹介がパワーポイントを使ったプレゼンテーション形式で行われた。

交流カフェのゲスト3名と市内在住のニコレッチさんのご挨拶(音声)をお聞き下さい。(ここをマウスクリック)

KIFA交流カフェの会場 自己紹介されるゲスト(1) 自己紹介されるゲスト(2)
市内在住のニコレッチ細川ネーナさん 歓談する参加者 同国人同士で情報交換?

内容は:
① セルビアの紹介・・・一般情報としてセルビア共和国の紹介(トリプコビッチさん)
      ・首都=ベオグラード(人口は156万人) ・面積=8.8万K㎡ ・人口=約750万人
      ・言語=セルビア語 ・宗教=セルビア正教、カトリック、イスラム教など
      ・文字=キリル文字(ラテン文字も通常使用されている) ・時差=日本よりマイナス8時間(夏時間の
       場合は7時間) ・通貨=セルビア・ディナール(100円=約56ディナール) ・気候=大陸性
② セルビアの歴史・・・小柳津さん
③ セルビアの観光・・・ナガトさん(民族衣装を着て説明された。)
④ 教育制度について・・・トリプコビッチっさん
⑤ 日本人が見たセルビア(日常生活や、結婚式など)・・・小柳津さん(セルビア人の奥さんと結婚された、その
                                   ときの結婚式の様子や風習など説明された。)

 プレゼンテーションの後には、質問の時間を設けて講師の方たちに、参加された会員や一般市民の方たちから色々と質問が寄せられた。特に気になったのが、ユーゴスラビア紛争に関して質問がなされたことである。普通はこの様な席では、余り講師の方に辛い思い出に触れないのがエチケットと思われたが、この質問に対しても日本語が堪能なサニヤ・トリプコビッチさんが、上手に応えておられたのには感心させられた。

 一般的にセルビアといえば、クロアチアやボスニア・ヘルツェゴビナとセルビアの間で民族浄化紛争が起きて、元は同じ国民同士が悲惨な紛争を体験し、紛争はNATOや国際連合の介入により収束した。国際的にはセルビアは悪役とさせられた国家である。
 しかし、当事者の話によればNATO軍の爆撃と経済・文化の封鎖を受けて大変な時期を幼少期に体験したと話された。民族浄化の最大の犠牲者とされるボスニアのムスリム人を西側ジャーナリストの偏った報道で、セルビアは悪役にさせられたと語る。参加者の質問にトリプコビッチさんは、ボスニア側、セルビア側の国民にもそれぞれ立場によって見方が異なる。中立的な視点でこの内戦を見る人にも違った見方があると説明された。
(注)ユーゴスラビア紛争についてはウィキペディアを参照されたい。

 セルビアの観光については、国際結婚をされた大使館に務めるティヤナ・ナガトさんから、セルビア共和国の観光スポットなどをスライドを使って説明された。セルビアの首都、ベオグラードはドナウ川とサバ川の合流地点にあり、ヨーロッパとアジアを結ぶ交通の要として発展してきた歴史ある街。ケルト人によって街が作られたのは紀元前三世紀でヨーロッパの最古の都市。7世紀にスラブ民族が移住して来て“ベオグラード”(ス ラブ語で=白い街)と名付けてからも、長い歴史の間に何度も破壊と再生を繰り返して来たこの街は西と東の文化が混じり合った不思議な雰囲気が漂っている。 とりわけ14世紀末から500年間この地を支配したトルコの影響は大きく、街の至る所にその跡が残っているエキゾチックな国とも紹介された。
 セルビア共和国の世界遺産として、スタリ・ラスとソボチャニ修道院、ストゥデニツァ修道院、コソヴォ中世建造物群など美しい国土と歴史的遺産や市内の観光スポットを紹介された。近年は南東欧の魅力に引かれ日本人観光客も増えていると説明された。

 セルビアの大学に留学され、現地の女性と国際結婚をされた小柳津さんから、セルビアの歴史とご自身の結婚式を事例にセルビア文化や土地の風習などを沢山の写真を使って紹介された。

 この質疑の後は、休憩が入ってセルビアの紅茶やハーブティーなどに加えて、果物を蒸留して作った果樹酒(45度の少し甘みを感じる強いお酒)を試飲させてくれた。

 休憩の後も、暫く講師の方への質問が続く中で、現在市内在住のセルビア人(国際結婚をされた)のニコレッチ細川ネーナさんが、大学の講師を務めておられ、教育などご自身が英語教育や児童教育の経験から、セルビア事情を補足説明をされたりと外国の方が身近におられることが実感できた楽しい交流カフェであった。

(レポート:TOMY)